ご挨拶
日本体育・スポーツ政策学会は、1980年前後から活動していたスポーツ行政研究グループを母体として、1991年に設立されました。本学会は、「体育・スポーツ政策に関する科学的研究並びに会員の連絡協同を促進するとともに、体育・スポーツ関係機関、諸団体との協調を図り、体育・スポーツ政策の研究と実践に寄与すること」(本会会則第2条)を目的としています。
2011年にスポーツ基本法が制定され、翌12年にはスポーツ基本計画が公表されました。そして、2015年には日本のスポーツ政策展開の中核を担うことを期待されてスポーツ庁が設置されました。スポーツの分野における政策形成の体制の整備・充実は大幅に進んだと言えます。スポーツ政策の実施に目を向けると、国・自治体はもとより、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)や様々な公益法人、NPO、さらには民間企業などが強固な政策実施のネットワークを形成しています。そして、ラグビーのワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックなどのメガ・スポーツイベントも実施され、スポーツに対する社会の関心も高まってきました。このように、スポーツ政策を取り巻く制度と活動は、大いに活性化しています。
しかし、例えば第3期スポーツ基本計画の主要12施策(①多様な主体におけるスポーツの機会創出、②スポーツ界におけるDXの推進、③国際競技力の向上、④スポーツの国際交流・協力、⑤スポーツによる健康増進、⑥スポーツの成長産業化、⑦スポーツによる地方創生・まちづくり、⑧スポーツを通じた共生社会の実現、⑨スポーツ団体のガバナンス改革・経営力強化、⑩スポーツ推進のためのハード・ソフト・人材、⑪スポーツを実施する者の安全・安心の確保、⑫スポーツ・インテグリティの確保)を見ても分かるように、スポーツ政策が対応しなければならない課題は山積しています。本学会には、このようなスポーツに関わる様々な課題の研究、あるいは解決策としてスポーツ政策の形成・実施・評価などの研究を学際的に取り組む研究者が集まっていますので、課題解決に貢献することが大に期待されます。
さらに多くの研究者の叡智を結集して、スポーツ政策研究をより一層発展させ、スポーツ政策の充実、発展に資するために、本学会へのご支援、ご協力をお願い申し上げます。
日本体育・スポーツ政策学会 会長 真山 達志(同志社大学)